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2012年3月

今日は上顎臼歯にオールセラミック冠を装着しました。

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1  今回、プレパレーションを行った右上6、5は失活歯です。

他院での治療が途絶えた後、長い間支台歯のままの状態で放置されていたので、対合歯の右下6は挺出しています。
今回、これは触らず、上顎のみを補綴しました。

 

 

 

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 2  このプレパレーションされた支台歯に被せるためにオールセラミック冠(e-max プレスクラウン レイヤリング)を作製しました。

 

 

 

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3  オールセラミック冠を装着したところ。上下の歯冠長のバランスは不均等だし、決して理想的な補綴ではありませんが、それでもメタル冠よりもはるかに美しいと思います。

やはりセラミック冠はいい。
本当にいいと思えるものだけを患者さんに勧めたいと心底、思っています。少なくとも保険のパラジウム冠(銀歯)は美しくなく、出来る限りお勧めしたくない過去の補綴物だと思います 。
 
 
 
 

今日は技工物の不適合について考えました。

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1  右上⑦6⑤4③ジルコニアボンドブリッジのフレームがラボから届けられました。

右写真はその支台歯の模型です。
右上5の遠心側のやや陥没したところ(矢印)は、模型上では歯肉として取り扱われ、シリコンガムで作製されています。 

 

 

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2  ところが、実際の口腔内では、同部(矢印)は形成された歯根面なのです。

高度に進行した歯周病で歯槽骨が著しく吸収し、通常は骨で覆われている歯根の大部分が露出していました。
そして右上5の遠心の歯肉縁下の根面がカリエスになっていたため、徹底的に追求した結果、根尖近くの深いレベルに形成面が設定されてしまったものです。 

 

 

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 3  同部のデンタルXPでは、削合されて露出した歯根象牙質はジルコニアフレームから棚状に斜め下方に飛び出した形で露出しています(矢印)。

この状態では、露出根面は塑造なのでプラークが溜まりやすく、将来二次カリエスになるでしょう。
しっかり歯磨きをしても、磨きにくい部分が最初から出来ていたら、患者さんの責任じゃないところで、その歯が悪くなっていくということです。
それはフェアーではないでしょう。

 

 

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 4  そこで少々レーザーで歯肉整形した後、局部的に再印象を採ることにしました。

バーで削ってザラザラとした面になった部分は、ツルツルしたセラミックで被覆してあげなければいけません。
そうでないと近い将来、この部分はプラークの沈着に起因する歯周炎やウ蝕を惹き起こすでしょう。  

 

 

 

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 5  このように局部トレーで不適合部だけの再印象を行いました。

ポーセレンをアンダーの部分に築盛してもらうためです。 
 
 
 
 
 
 
 

今日は左上顎臼歯部の歯肉剥離ソウハ術をしました。

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   左上4567は歯周初期治療終了時点でポケットが5~6ミリと深かったので、歯肉剥離ソウハ術に踏み切りました。

ごくオーソドックスな術式ですが、頬側および口蓋側の歯頸部、ならびに歯間部に多量に充満した肉外組織を完全に除去するにはこの術式で充分です。 
 
 
 
 
 
 
 

今日は学術部で作製した放射線被曝のパネルを用いて、患者さんに歯科放射線被曝の安全性について説明しました。

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  上の2枚のパネルは、本年2月に高松市歯科医師会学術部で作製した放射線被曝の患者様への説明用パネルです。
歯科で撮影される放射線の被ばく線量は極めて低く、けっして健康障害を惹き起こすものではないので安心していただくために作製したものです。
 
  本日、このパネルを用いて患者様に説明させて頂く機会がありました。本日、インプラントの相談目的で初診でお見えになった患者様は、パノラマレントゲン撮影に対して当初、抵抗を感じておられました。
そこで、上記のパネルを示して、パノラマX線撮影の被曝線量は年間の自然放射線の被曝レベルに比較してはるかに低いものなので安心してX線検査を受けて頂いてよいことを説明しました(パノラマX線撮影1枚の被曝レベルは、一日あたりの自然放射線レベルの0.5~5倍程度)。
 
 患者様は、結局、安心してX線検査を受けてくださいました。穴吹高松市歯科医師会副会長の協力を仰いで、学術部4人が総力を挙げて作製したパネルですが、現実の診療場面において活用する機会があってよかったと思いました。他の歯科医院においても、本パネルがお役にたてることを願っています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先週末は高松市歯科医師会の学術講演会を開催しました。

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1 先週末の3月24日(土)、高松市歯科医師会の平成24年度第4回学術講演会が高松市歯科救急医療センターで開催されました。

講師として大阪歯科大学の有田憲司先生をお招きし、“ 歯科医と患者と社会に優しいスマート歯科材料:新規アパタイトアイオノマーセメントの創製”という演題名のご講演を頂きました。
 
 

 

 

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2 テーマは新しいセメントについてで、従来のウ蝕を全部削り取った後、出来た歯の実質欠損を詰めるための材料としてのセメントでなく、ウ蝕を残してもこれを詰めておけば残ったウ蝕が治癒に向かうという、ウ蝕の治癒が期待できる新しい優れモノのセメントが紹介されました。
 
 材料学の話だけでなく、ゼロから研究をスタートされて、決して順境の環境下ではなかったけれども、あきらめずに研究を続けられ、ついには世界各国で特許を獲得するに至ったという研究の苦労談を聞かせて頂け、大変感銘を受けました。 
 
 

 

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 3 挫折の連続であっても決してあきらめず、自分の能力を信じてがんばっておれば、いつか必ず運命が開けてくるというお話を聞くのは大好きです。

二十年間の長きにわたって同じテーマを追いかけてこられた有田先生には、日本の歯科医療をよくしたいという熱い情熱を感じました。
 
 私はつたない進行役を務めさせていただきましたが、とてもありがたく貴重な講演を拝聴出来たことに感謝。
 

 

 

 

今日は下顎臼歯部にアンキロスインプラントを植立しました。

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1 左下46相当部にアンキロスインプラントを2本植立しました。 

 

 

 

 

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 2 最近の自分としては珍しく、僅かにフラップを開けて植立しました。左下4相当部の骨幅はかなり狭く憶測では危険と判断したからです。

それと、アンキロスインプラントのシステムはフラップレスで入れていくにはやや難しいような気がすることもあります。
アダプターと接続した状態ではショルダーのレベルがレントゲンで判読しにくいからです。

 

 

 

今日は右上顎のサイナスリフトを行いました。

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1 両側上顎臼歯は欠損しており、同部の歯槽骨は著しく委縮しています。

両側臼歯部共に、パノラマX線では歯槽頂から上顎洞底までの距離は極めて僅かで、このままではインプラントの植立は不可能です。
そこで両側共にサイナスリフトを行うことにしました。  

 

 

 

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 2 今回は右側のサイナスリフトを行いました。

このケースに特徴的なのは、以前の上顎骨骨折の治療に用いられたミニプレートが残存していることです。
CT撮影で調べると、開窓予定部位にプレートがあり、サイナスリフト開始前にスクリューを除去しないと洞粘膜の挙上を試みる際、洞粘膜が破れることが予想されました。
そのため、サイナスリフトを成功させるためには、このプレートを最初に除去することが重要と考えました。

 

 

 

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 3 そこで、歯肉頬粘膜移行部の粘膜を切開剥離して上顎骨面を露出させた後、開創部付近にあったプレートを先ず除去しました。

残りのプレートは手術に影響しないので、撤去しませんでした。  

 

 

 

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 4 このプレートのメーカーは手術開始まで不明でした。

以前に骨折オペを行った病院に問い合わせても記録が残っておらず、メーカーを特定できなかったのです。
そこで、ありとあらゆる主だったメーカーのスクリュードライバーを準備せざるをえませんでした。
結局、用意した多くのドライバーのうち、唯一、一本のスクリュードライバーがスクリューに適合してくれたので、無事プレートを撤去できました。
 

 

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 5 後は通法に従い、サイナスリフトをおこなうのみです。

洞粘膜を破らないように、注意深く洞内壁から剥離し、これを挙上しました。 

 

 

 

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 6 挙上された洞粘膜の天井側にバイオメンドとテルダーミスを二重にあてがい粘膜を補強した後、骨補填材をどんどんと詰めてゆきます。 

 

 

 

 

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7 骨補填材を詰め終わったところです。  

 

 

 

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 8 このようにして無事オペを完了出来ました。

多くのドライバーの中から、最後に残った一種類のドライバーが適合することを教えてくれた歯科衛生士の野村さんの貢献なくしてオペは成功できませんでした。
手術はスタッフの協力なくしては出来るものではなく、チームワークで無事予定の手術を完了できたことを感謝します。
 
 
 
 

今日はインプラント上部に補綴物をネジ固定するのに便利なツールを発見しました。

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 1 ストローマンインプラントのシンオクタシステムでは、インプラントの上に上部冠をネジ止め固定することが出来ます。

そのためにまずインプラントの上部にネジを受け入れるネジ穴をもつ小さなパーツを接続します。

 

 

 

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 2 次に、そのネジ穴に対して、上部構造のフレームを貫通させてねじを挿入し、これを締めることで上部構造のフレームをインプラントに固定します。  

 

 

 

 

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3 ところでこのようなネジはとても小さく、普通のネジまわしでは狭い口の中で(特に奥歯では)ネジまわしが対合歯に当たって入らず、やりにくいことがあります。そういう時に、このような“ハンドトルクドライバー”はとても便利です。

 

 

 

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 4 指を口腔内に突っ込むことなく、楽に、正確にインプラントに対して上部構造をねじ締め固定できます。

これは本日立ち会って頂いたアートアンドサイエンスの植村氏から紹介されたものですが、便利なツールだと感動しました。  

 

 

 

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5 インプラントにネジ止め固定された上部メタルフレームです。

インプラント体に対して普通にねじ締めするだけで、ぴったりと無理なく、正確に適合しています。
インプラント補綴の神髄はこの精密な適合性なのです。
アトリエココロも、アートアンドサイエンスもこの適合性があるから仕事をお願いしています。
このよう精度で技工物を提供してくるラボは決して安価ではありませんが、大切な生体に入れる人工臓器にこの精度は欠かせません。

 

 

 

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6 インプラント技工の最も重要な部分はこの適合の良さなのです。

世に低価格を強調するインプラント医療が存在しますが、患者さんを幸福に導くことを使命と考えるインプラント医療を本物とするなら、低価格のみを謳うインプラント医療は本物とは言えないでしょう。
高品質の技工物を作製するにはそれなりのコストがかかるのは当然ですから。
清潔なインプラント周囲環境を維持し、長期に機能するインプラントこそ、本物のインプラント医療なのです。 

 

 

 

 

今日も4本の抜歯後、ソケットプリザベーションを行いました。

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1 歯周病の左上3、6、右上4,5を抜歯しました。  

 

 

 

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2 右上4、5の抜歯窩です。 

 

 

 

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3 抜歯窩にハイドロキシアパタイトを補填しました。 

 

 

 

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4 例によって、表面をシリコン膜付きテルダーミスで被覆します。反対側の左上3,6にも同様の処置を施します。
 
 なせ、ソケットプリザベーションを好んで行うかというと、その部位にインプラントの植立オペを低侵襲で行うことが可能になるからです。本当にシンプルな術式でインプラントを入れることが出来ます。

 

 

 

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5 本日生じた歯の欠損状況に対して、即時に仮の義歯を装着します。

 

 

 

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6 今回、ソケットプリザベーションを行った部位には、義歯が粘膜面を圧迫しない様に内面をしっかりくり抜いておきます。

 

 

 

 

今日も上顎小臼歯の抜歯後ソケットプリザベーションをしました。

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1 左上5は根尖まで骨が吸収しているため抜歯、左上4も遠心側の骨が全く消失しているために抜歯しました。

 

 

 

 

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2 抜歯した左上4,5です。

 

 

 

 

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3 このような抜歯窩が形成されました。  

 

 

 

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4 抜歯窩にハイドロキシアパタイトを補填しておきます。 

 

 

 

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5 表層をテルダーミスでカバーします。

 

 

 

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6 臼歯部に咬合支持を付与するため、このようなクラスプのない部分義歯を設計しました。 

 

 

 

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 7 ソケットプリザベーションを行った部位の粘膜に圧迫が加わらない様、左上45の部分だけは人工歯はシェル上の形状としました。

 

 

 

 

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