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2012年6月

今日は下顎臼歯部のフラップオペをしました。

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  左下5と6との歯間部には大きな垂直性の歯槽骨欠損が見られます。

フラップを開けてみると、1壁性の骨欠損でした。
5と6、そして6と7との間には骨欠損を伴う不良肉芽が認められたので、これを徹底的に除去しました。 

 

 

 

 

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  フラップオペの目的は、歯周組織の炎症の原因を取り除くことによって、炎症を消失させ、組織の治癒を導くことです。

深いポケットが一旦形成されると、その中には歯周病菌だけでなく、炎症を継続させる多くの炎症性メディエーターと呼ばれる物質が充満しているので、これらを根こそぎ取り除かないと完全に炎症を制御できないわけです。
フラップオペを行う意義はまさにここにあります。 

 

 

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   十分、骨面の不良肉芽を除去した後、人工骨を欠損部に補填しておきました。 

 

 

 

 

 

今日は両側下顎臼歯部のアストラテックインプラントに上部冠を装着しました。

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  デンタルラボから両側下顎臼歯部のインプラントの上部に装着するポーセレンメタルボンド冠が完成して納入されて来ました。

それを顎骨内に埋入されているインプラント上に接続されたアバットメントに乗せることで、インプラントにしっかりと上部冠が固定されます。
今回は、上部冠とアバットメントの固定はセメント固定方式にしました。 

 

 

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   臼歯部の場合、長期に安定する予後を期待するためには歯間乳頭の完璧な再現はあまり重要でなく、歯間空隙に清掃器具(歯間ブラシやデンタルフロス)が、楽に、確実に挿入出来ることが、健康そうに見える見かけだけの歯間乳頭を復元することよりもより大切だと考えています。

インプラントとインプラントとの間、あるいはインプラントと隣接の天然歯との間に確実に歯間ブラシが挿入出来るような空隙を確保することは、インプラント周囲炎の予防に極めて重要です。
インプラントを長期に、健全に機能させるということは、別な言い方をすれば、インプラント周囲炎を起こさないようにすることと言っても過言ではないでしょう。
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  インプラント周囲炎は、インプラント周囲にプラークが沈着することで起こるのですから、インプラント周囲を患者さま自身の努力によって清潔に保てるような形態を保有した歯冠修復物をインプラントや隣接の天然歯に与え、そしてその清掃方法を指導してさしあげれば、インプラント周囲炎は予防できます。

これは患者様自身の努力を信じる考え方であり、それは、患者様の人格を尊重する意味で重要な考え方だと思います。われわれは患者様の病を治すだけでなく、患者様が健康でいたいという意欲を支援することもわれわれの職責であるからです。
健康を支援する立場で歯科医療サービスを提供することは、インプラント医療においては、インプラント周囲炎を起こさない様なインプラント体の選択、生理学にかなった植立術式、そして、患者様自身が清掃し易い形態を具備した上部冠を装着することに他ならないと思います。
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今日もインプラントの表面性状について書きます。

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  本日も当院で行ったインプラント治療の経過を診させて頂く機会がありました。
一番上の写真は本日の左下顎臼歯部のザイーブ(Xive)インプラントの上部構造と周囲歯肉の状態です。 

 

 

 

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  きれいに清掃していただけており、上から二番目の本日撮影したデンタルⅩ線写真でもマージナルボーンは安定しています。 

 

 

 

 

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  上から3番目のⅩ線写真は4年前に上部構造を装着した際に撮影したものですが、マージナルボーンのレベルはほとんど変化していないことがわかります。

 

 

 

 

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  上から4番目の写真は本日の右下顎臼歯部のストローマンインプラントに装着された上部構造と周囲歯肉の状況です。
やはり、炎症所見は認められません。
上から5番目のⅩ線写真は本日撮影したⅩ線写真、一番下の写真が2年前の上部冠装着時に撮影したⅩ線写真ですが、両者を比較してもマージナルボーンレベルは安定しています。
 
 

 

 

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 インプラントの長期予後を左右するのは、やはり細菌感染のコントロールで、具体的には清掃状態を良好に保つことです。

次に重要なことは、信頼できるインプラントメーカーを使用することです。
同じように見えるインプラントであっても、その形態や表面性状によって、骨と結合する能力や細菌の感染に対する抵抗に差があります。

 

 

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  その点、ストローマンインプラントのSLAサーフェイス、アストラテックインプラントのTiOBlast、デンツプライ・フリアデントインプラントのCELLPlusなどは、多くのそれらの基礎的・臨床的な学術レベルの報告があり信頼できます。

口腔の中に埋め込む大切な人工臓器ですので、出来るだけ永く、安定した長期予後を考えるなら、学術レベルの報告に裏付けされたインプラントメーカーを選択するかどうかは、歯科医師の良心の問題といえます。 
 
 
 
 
 

今日は久しぶりにお見えになられたインプラント患者さんの経過を診させて頂きました。

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  一時、体調を崩されてしばらく通院が途絶えていらっしゃった患者様が、久しぶりに当院にお見えになりました。

2年8カ月前に下顎臼歯部に行ったインプラント治療の経過を見せて下さるためです。 

 

 

 

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  口腔内を診させて頂くと、インプラント周囲粘膜に炎症は見られず、レントゲン検査でもマージナルボーンは安定していました。

とてもきれいに清掃していただけているためだと思います。
アストラテックインプラントの辺縁骨の吸収の少なさには定評がありますが、このインプラントの歯頸部形態や表面性状も良好な予後に関係しているでしょう。
僅かに咬合調整を行い、経過観察を終えました。
すっかり体調を回復された患者様は、80歳をはるかに超えていらっしゃいますが、元気に車を運転してお帰りになりました。
インプラントを当院で入れてよかったと喜んで頂け、とてもうれしく思いました。

 

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   インプラントの長期予後を左右する因子は何よりもご本人のインプラントを大切に扱う心がけですが、インプラント自体の持つ特性も重要です。

表面性状の機能が信頼できる一流メーカーのインプラントを使用することは、長期に良好な予後を維持し、安心して医療を続けていくためにとても大切なことだとつくづく思います。

 


 

今日は即時荷重インプラントの上部構造を外し、インプラント周囲の経過観察をしました。

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  このケースは、現在、上、下顎ともプロビジョナルのボーンアンカードブリッジ(無歯顎におけるインプラント支持固定性ブリッジ)が装着されています。  

 

 

 

 

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  下顎は、即時荷重インプラント手術を行ってから約1年が経過しています。
 
  プロビジョナルブリッジを除去してみると、各インプラント周囲粘膜はきれいで、炎症は見られません。
すべてのインプラントのデンタルXPを撮影してみましたが、マージナルボーンロスは認められませんでした。   

 

 

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   一方、上顎は即時荷重インプラント手術を行ってから、まだ3カ月です。

やはりインプラント周囲粘膜に炎症は見られず、デンタルXPでもマージナルボーンロスは認められません。
 
 オステルメンターで上、下顎の代表的なインプラントを選んで、そのインプラント定数を測定すると、上、下顎ともに80を打ち出していました。

 

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  当院で行っているボーンアンカードブリッジはネジ留め固定式ですから、ネジを逆回転させて緩めると容易に取り外すことが出来、経過観察や清掃に非常に便利です。

この着脱の容易さは、インプラントの長期管理において有利であると考えています。 

 

今日は下顎のボーンアンカードブリッジを装着しました。

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  無歯顎の下顎に6本のアストラテックインプラントが植立されています。

そして、各インプラントの頭には、スクリュー固定式ブリッジの装着を可能とするユニアバットメントが装着されています。 

 

 

 

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  上から2番目の写真は、本日装着するスクリュー固定式ボーンアンカードブリッジです。

クロスアーチのワンピースブリッジを、15Nのトルクでユニアバットメントにスクリュー固定します。

 

 

 

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  上から3番目の写真はブリッジの基底面です。

粘膜面はメタルの研磨面になっており、プラークコントロールが容易になる様な形態の配慮をしています。  

 

 

 

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  その下の写真は、ブリッジを口腔内に装着した状態です。 

 

 

 

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  歯間ブラシが各インプラントの周囲に容易に通過されるように、注意深くチェックしました。

この清掃性が十分確保されることはボーンアンカードブリッジの長期予後にとって極めて重要です。

 

 

 

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  次の写真は、装着後のパノラマXPです。

上顎臼歯はまだプロビジョナルですが、下顎の補綴が完了したので、次回から上顎臼歯部の最終補綴に入ります。 

 

 

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  各インプラントと、スクリューによって固定されたメタルフレームとの適合は良好です。 

 

 

 

 

 

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   このケースでは、インプラントオペはCAD/CAM で作成されたサージカルガイドを用いてフラップレスで行われ、上部の補綴物の作製においてもメタルフレームはCAD/CAMで作製されました。

どんどん、デジタルデンティストリーが歯科医療の現場に導入され始めています。 

 

 

 

 

コンピュータ―支援インプラント手術の精度について考える。

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  コンピューター支援インプラント手術の精度に関するメタアナリシスに基づくレビューによれば、エントリーポイントの平均誤差は0.74mm、 インプラント先端部での誤差は0.85mmとされている。

 
  この数値は、コンピューター支援インプラント手術(CAD/CAM  guided surgery)は臨床的には十分、信頼できることを示していると思う。
この程度の誤差は、コンピューター支援に頼らない従来の術式であっても起こり得るレベルであると思われる。
つまり、術者が直視の下、このポイントにエントリーしようと思っても、実際にエントリーポイントを必ずしもそのポイントに設定できるとは限らず、それは術者の技量に関わる問題なのだ。実際にエントリーする際に使用するバーやドリルは骨面からはじき返されやすく、設定ポイントを思惑通り置くことは結構難しいのだ。
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    しかしながら、コンピューターを100%信用してしまうことにも問題があるので、手術中の判断で、臨機応変、術者の感覚主導の手術に切り替える弾力的な態度が必要だ。

それには、結局のところ、従来法に基づくインプラント手術の豊富な経験が前提となる。 
 
 

今日はインプラント支持上顎部分床義歯を再製しました。

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  一番上の写真は、今回、再製作した上顎部分床義歯の床内面です。

 

 

 

 

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  上から二番目の写真は義歯が乗せられる口腔内です。

左上6相当部にはインプラントが埋められており、その表面にはキーパーと呼ばれる磁性金属が装着されています。
たった1本のインプラントであっても、義歯が粘膜へ沈み込むのを抑制するので、義歯はずいぶんと安定します。

 

 

 

 

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   上から3番目の写真は、キーパーを装着する直前のインプラント上面です。

今回は、義歯の再製作に併せてキーパー、および義歯床内面のマグネットも新品を装着しました。
もう5年以上キーパーを接続しているのですが、インプラント周囲の炎症は見られません。

 

 

 

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   一番下の写真は、マグネットとキーパーの構造を示しています。 

 

 

 

今日も日本臨床歯周病学会に参加しています。

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  今回の内容は、臨床のテクニックの発表よりも、歯周治療の根幹をなす考え方、例えば歯を残すべきか、抜歯するべきかの基準についてであるとか、リスクアセスメントについてであるとか、そのような歯周病専門医としての基本的なポリシーについてあらためて考え直そうとする気運を感じました。
 
  テクニカルな発表としては、インプラント周囲炎のマネジメントや、複雑なケースにおけるインプラントを含めた包括的な治療が紹介されていました。
これまで良質から悪質まであらゆるインプラント治療がひととおり展開されてきて、インプラント治療は明らかにネクストステージに入りつつあります。ネクストステージのインプラント治療は、この学会のスタンスがそうであるように、インプラントを活かすためには、インプラント以外のコンベンショナルな歯科治療(義歯治療や保存修復治療、根管治療、矯正治療、咬合治療、等)を包括的に展開するなかで初めてインプラントの真価が発揮される、といったコンセプトに裏付けされたものになるでしょう。

 

今日は東京新宿京王プラザホテルで開催されている日本臨床歯周病学会に参加しています。

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  今日と明日は日本臨床歯周病学会に参加します。
この学会のコンセプト、「われわれが歯を残す」で表現されているように、天然歯の価値を認め、これを極力保存することが歯科医師の使命であることは疑いようがありません。
あらゆる手を尽くしても保存がかなわないとき、残念ながら抜歯となります。インプラントはその代替臓器として極めて有用ですが、あくまでも歯を残すことを最優先とし、そのための治療や予防を最重要視した考え方をとっているのがこの学会です。
 
  昨今、インプラント医療の見直しが行われていますが、正しくインプラントに取り組んでいる歯科医は歯周病の治療や予防に高い見識と技術を持っています。その基本のところを再確認出来るので、毎年、スタッフと共に参加しています。  

 

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