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2012年7月

今日はエムドゲインを用いた歯周再生療法を行いました。

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  左上7の遠心には深い骨内欠損があり、今回、同部の歯周再生療法を行いました。
フラップを開けてみると、7の遠心に、深さはほぼ根尖付近に及ぶ程度の3壁性の骨内欠損が認められました。 

 

 

 

 

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  骨内欠損部に充満していた不良肉芽を徹底的にソウハしたあと、根面をキレーティングし、“エムドゲインゲル”を骨欠損の底部および根面に塗布しました。続いてエムドゲインを混和した人工骨を欠損部に補填し、さらに改めてエムドゲインをその人工骨上面に塗布します。最後に、コラーゲンで最表層を覆い、粘膜骨膜弁を元に戻して、水平マットレスおよび垂直マットレス縫合変法で緊密に創面を縫い合わせ、オペを終了しました。
 
  エムドゲインを骨内欠損の再生に用いる場合、骨補填材の併用の有効性に関しては、長期に観察すると、エムドゲイン単独の場合も、骨補填材併用の場合も、あまり骨再生量の程度に差がないとする報告があります。 

 

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  しかし、骨再生量に差はないとしても、再生の足場として、あるいはエムドゲイのキャリアーとして、役立つのではないかと考え、今回は人工骨の併用を試みました。

 

 

 

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   術後のデンタルX線写真です。

オペ前にあった透過像が不透過像に置き換わっていることが、手術は正確に行えたと多少とも感じさせてもらえ、また将来はその様な具合に自前の骨が出来るイメージが捉えやすいことから、私の場合はエムドゲインに骨補填材を併用することが多いような気がします。

 

"エムドゲイン"について(1)~臨床例~

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   エムドゲイン?ゲルは、スウエーデンのビオラ社で1995年に開発された歯周組織再生誘導材で、現在、世界中で販売されています。

その主成分はエナメルマトリックスデリバティブ(EMD)と呼ばれる幼若な豚の歯胚から精製抽出されたタンパクです。
このエナメルマトリックスデリバティヴ(EMD)は、歯周組織の再生にあずかるいろいろな細胞に働きかけることにより、歯周組織を再び獲得(ゲインgain)するので、“EMDOGAIN”という名称がついたようです。

 

 

 

 

 

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   一番上の写真は、2005年の歯周再生療法を受ける前の初診時の右下3のデンタルX線写真です

。右下3の遠心側は、歯頸部からほぼ根尖に至る著明な垂直性骨吸収が認められます。
上から二番目の写真は歯肉剥離ソウハ術を行っている術中のものです。
ここで注意しておくことは、エムドゲインは歯周病を治す薬ではなく、歯周組織を再生する薬なので、エムドゲインの使用前に歯周病の原因となる炎症を惹き起こす物質を徹底的にソウハしておくことが重要です。

 

 

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  上から三番目の写真は、エムドゲインを使用した歯周再生療法を行ってから7年目の2012年7月7日に撮影したデンタルX線写真です。

垂直性骨吸収は消失し、歯根長の半分近くまで辺縁骨レベルが戻ってきています。
明らかに歯周組織の再生が行われており、良好な予後が確認できます。   

 

 

 

 

 

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   一番下の写真は、同日の口腔内写真です。

やや歯根は露出していますが、臨床的には健全な歯周組織を獲得できています。
エムドゲインは、その効果が長期にわたることが知られており、1年、3年、5年と時間が経過するとともに歯周組織の再生が継続している状況が本症例でも確認できます。  
 
 
 
 
 
 
 

暫間インプラントについて考える

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  本年の1月に左下顎第二小臼歯、第一大臼歯を抜歯した後、抜歯窩に暫間インプラントを植立しました(一番上の写真)。

その目的は、抜歯窩に骨移植をした際にその移植骨を保護することでした。
すなわち、暫間インプラントをテンポラリーブリッジの後方支台歯として利用したのです(前方支台歯は左下4)。
 
 こうすることによって、テンポラリーブリッジが移植骨材を保護する役目を果たすことが期待できたわけです(上から二番目の写真)。

 

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   本日、その暫間インプラントを撤去しました(上から三番目の写真)。

その際、暫間インプラントの動揺は見られず、また移植部位のX線観察では期待した通りの骨形成が認められました(上から四番目の写真)。
 

 

 

 

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    暫間インプラントの性状は本物のインプラントよりも径がはるかに細く、また純チタンでないことより周囲骨と強固に結合することなく、単にネジとして骨の中にねじ込まれているに過ぎません。

それにもかかわらず6カ月間もテンポラリーブリッジを支えて来たわけです。
もしこれが本物のインプラントならGBR併用の抜歯後即時荷重インプラントをやったことになるわけですが、暫間インプラントですらそれが可能なのですから、本物のインプラントならさらに成功の可能性は高まると思います。

 

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今日は上顎前歯部のフラップオペを行いました。

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   このケースの上顎前歯部には高度に進行した慢性辺縁性歯周炎がみられます。

本日は右上3から左上3までの6本の歯を対象にオープンフラップデブライドメントを行いました。本術式の第一の目的は、炎症を継続させる細菌、および炎症を媒介する物質を含む不良肉芽を徹底的に取り除くことですので、それはきちんとやりました。左上1は、術中に保存不能と判断して抜歯しました。  

 

 

 

 

 

 

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  不良肉芽のソウハ後に、凸凹した骨のエッジが残っていますが、歯槽骨が高度に吸収しているので、歯槽骨辺縁をなだらかに形態を整えるために骨を削ることがあまりできませんでした。
 
  今回の術式は歯周炎の進行を食い止めるためのポイントである原因物質の除去のみに焦点をあてており、歯周組織の再生はあまり期待できません。 

 

今日は上顎第二大臼歯の深い遠心ポケットを発見しました。

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   左上第二大臼歯の遠心側には7mmの深いポケットが認められました。

失活歯ですが、明確な歯根破折の所見を確認できませんので、フラップオペを行う方針としました。
この部のみが限局的にポケットが深くなる理由として、清掃不良や咬合性外傷の可能性が考えられます。

 

 

 

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   今後、金属冠を除去後、エムドゲインを使用したフラップオペを計画しました。

そして、その後、清掃性がよく、生理的咬合と調和した咬合面形態を与えたセラミック冠で歯冠を再生する予定です。  
 
 
 
 
 
 

今日は東京で開催された歯科学研究所インプラント部会の学術集会で教育講演をさせて頂きました。

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  本日は東京ステーションコンファレンスで開催された、特定非営利活動法人 歯科学研究所インプラント部会 第7回学術集会において教育講演をさせて頂きました。私の用意した演題名は、「無歯顎における即時荷重インプラントの経験~CAD/CAMガイデッドサージェリーの活用~」というものです。
 
  CAD/CAMガイデッドサージェリーは、よく言われるように低侵襲、かつ安全・確実なインプラント手術に確かに大きく貢献することは間違いありません。
しかし、両刃の剣のたとえがある様に、何事にも利点と欠点の両面があることを踏まえてこの新しいテクノロジーを使用しないといけないと思います。

 

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   即時荷重も同様で、インプラント植立時に仮の上部構造を即時に装着して咬合を開始させるこの荷重プロトコールは、インプラントに最終補綴物を装着するまでの期間を短縮できる素晴らしい治療法ですが、成功に必要な条件をすべて満たさなければ失敗に至りうるリスクのある治療法でもあります。 

 

 

 

 

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   私は自験例を紹介させて頂き、即時荷重インプラント、ならびにCAD/CAMガイデッドサージェリーの臨床適応におけるいくつかのポイントについて意見を述べさせていただきました。 

 

 

 

 

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  結局、私の結論とは、即時荷重インプラントも、CAD/CAMガイデッドサージェリーも、それが適切に応用される限り、共に患者様に快適で低侵襲治療を提供できる素晴らしいインプラント治療法なので、今後もさらにこの技術の研鑚に精進して歯科医師の職責を果たしていきたい、というものでした。

 

 

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