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2017年4月

歯科臨床にスピードが必要なわけ

 歯科診療にスピードが必要な理由について、北九州市の著名な臨床歯科医である下川公一先生が、自著「歯科医院の発展とその心技体ー失敗と成功の我が経験則ー」のなかでいみじくも語っておられる。以下引用。

 『歯科治療は、とても深淵であり、いくら追求しても奥深いものだ。

 根管充填ひとつとっても、「ここまでやれば根尖病変が出来ない」という保証はどこにもなく、「もっときれいに充填しよう」などとこだわり続けていたら、いつまでたっても終わらなくなってしまう。

 クラウンのマージンも同様で、適合精度を際限なく追い求めていったら、1本の歯で1~2時間かかっても不思議はないだろう。研磨も然りである。

 そもそも、じっくりと時間をかけて最高の治療が出来るというのは当たり前の話であって、決して自慢にはならない。それでも採算がとれているという人がいたら、果たしてそこにどれだけの時間を費やしたのか聞いてみたい。

 一人の患者さんに時間をかけて丁寧な治療を施し、1日に数名を診たとする。しかし、それでは、いくら本人が細々と暮らすほどの収入があったとしても、採算が取れているとは言い難い。

 歯科医療の専門職である以上、最高の治療を提供する努力は必要だ。しかし、歯科医師の本当の腕の見せ所は、「治療をほどほどのところで切り上げながらも一定レベル以上の治療ができる」ということなのである。------------

 -------- 同じ治療内容で比較してみよう。10分で治療を終える人と30分かかる人では、患者さんは速やかに終わる歯科医師を選択することは確実だ。また、経営視点でも速やかに終える方が効率的である。支台歯形成を例に考えても、最終的な形成のイメージが頭にあればそれに近い状態まで大きなバーで一気に削ればよく、そこまで時間をかける必要はない訳である。

 そのことが理解できる人と理解できない人では、相当な時間の差が生じている。しかも、この傾向が日常のあらゆる点において表れると、技術や治療結果が同様であっても、年間に換算した場合には1か月程の差は簡単に生じてくるのである。』引用ここまで。

 どちらかというと、自分もこだわるタイプなので、この意見には大いに耳を傾ける必要がある。提供するものが同じ結果なら、仕事は早い方が良い。

 浮田歯科における研修テーマのひとつはスピードだ。院長は診療が早いだけではない。日常のすべてが効率的なのだ。そして、彼女の診療室には、下記の文言が記された「羅漢さん心の日めぐり」(京都大原三千院で一緒に購入した)からの1ページが額縁に入れて大事に飾られている。

「仕事はやればいいというものではない。ていねいに、きれいに、そして速くやれ」

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 参考文献:下川公一, 歯科医院の発展とその心技体ー失敗と成功の我が経験則ー,グレードル株式会社,東京, 2016. 

スピード

 4月に入ってから、パートナーの運営する浮田歯科医院で新人と共に研修を開始したので、ますます多忙となった。そのため、ブログをアップできなくなったが、今日は大阪の研修の帰りの車中でこれを書いている。

   まず、3月末で花ノ宮町の中山歯科クリニックの診療を休止した理由は、長年勤務してもらったベテラン歯科衛生士の退職により人手不足が発生したことが直接の原因だ。後任の歯科衛生士を募集する猶予が必要なわけで、この機会を利用して、新たな人材募集と、かねてからやりたかった中山歯科クリニックと浮田歯科クリニックの診療システムを統合するため、さらに4月から採用した新卒の歯科衛生士の新人研修の目的で、自分と新スタッフは浮田歯科で研修を開始したというわけだ。もちろん、スタッフ教育が終了したら、花ノ宮町で自分のクリニックを再開するので、患者さんには安心して待っていて欲しい。

 というわけで、中山歯科クリニックに新しい診療システムを導入しようと考えている。具体的には、インプラントや補綴治療、歯周治療などの治療主体から、予防を重視した包括的歯科診療にシフトさせたいと考えている。さらには医科とリンクした全身健康に貢献できるクリニックに成長させたい。また、別の観点からは、与えられた一定の就労時間内での活動量を増加させたいと思っている。

 自分はいろいろなことをやりたい方だが、これまで効率が悪くて一日の生産的活動量は決して高くなかった。浮田歯科で研修して気づいたことは、院長の活動量が圧倒的に多いのだ。たとえば、一日の診療患者数が自分のクリニックよりはるかに多い。それだけではなく、いろいろのことを同時にこなしている。たとえば、業者さんとの打ち合わせ、カウンセリングを昼休みにおこない、器材の購入も自分で電話注文している。さらに研修のスケジュールを立てたり、スタッフと個別面談をしたり、休む暇がない。このパートナーの圧倒的活動量は参考になる。

 そのポイントは「スピード」だ。何事も正確に、そして早くやることの大切さを浮田歯科では学ぶことができる。

 

 

 

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