歯周治療

歯周治療について

歯周病はどうして起こるのか

歯周炎がプラーク(歯周病原細菌を含む多種の細菌の凝集体とそれを取り巻く菌体外粘着物質のことで、局所への定着能が強くバイオフィルムと呼ばれます)によって引き起こされることは疑う余地がありません。

一方、プラークが多量に付着しても歯周組織の破壊がほとんど見られない人もいれば、プラークの量が少なくても高度な破壊がみられる人もいます。このことは、個人間で歯周病に対する感受性の差があることを示しています。

この感受性の差に関与する要素として、生体防御因子と環境因子が挙げられます。
生体防御因子とは免疫のことで、細菌感染に対する免疫応答の結果として炎症が惹起されますが、その免疫応答の発現の有様に個体間で多様性があり、また同一個体においても、年齢やおかれている環境により変化します。
このことが引き起される炎症の程度の個体差や、同一個体における症状の消長となって表れます。
また、口腔清掃を怠ったり、喫煙したり、バランスを欠いた食生活、ストレスの多い生活など、何らかの生活習慣に問題があるとバイオフィルムの除去が不十分となったり、免疫力に悪い影響を与えます。
その結果、歯周病の感受性に個人差が生まれます。

このように、歯周病は歯周病原細菌、生体防御因子(免疫)、環境因子(生活習慣)の諸因子が相互に依存して発症する多因子疾患といえます。

当院の歯周病治療

歯周病は局所因子、生体防御因子、環境因子などによる多因子疾患であるため、いったん積極治療で病状が安定しても、プラークコントロールの不徹底や咬合状態の変化、糖尿病などの全身疾患との関わり、加齢や生活習慣などの諸要因により、再発することがあり得ます。
従って、定期的なリコールで、患者による歯周組織の自己管理を歯科医師や歯科衛生士が補完するプロフェッショナルケアが重要で、これをSPT( サポーティブペリオドンタルセラピー:歯周病管理)と呼びます。

当院では、病状が改善された状態を安定して維持していただくため、この歯周病管理を重要視しています。
定期的に来院していただき、歯周組織を検査し、スケーリングやPMTCなどを行います。
通常は2-3ヶ月ごとの来院で事足りますが、必要が認められれば部分的に積極治療を再度行うこともあります。

歯周病の治療法は?

歯周病の直接原因は、歯周ポケットに存在する歯周病原細菌で、プラークバイオフィルムを形成しています。
歯周病の治療の基本は、歯周病を発症させる“原因除去”であり、このプラークバイオフィルムを歯科医と歯科衛生士と患者が協力して、除去することです。
スケーリングやルートプレーニングと呼ばれる機械的に歯面を研磨する方法を用います。

また、歯周病の症状には、プラークバイオフィルム感染による歯周組織の炎症(歯周炎)の局面と、弱った歯周組織に咬合力が外傷性に作用して組織を破壊する(咬合性外傷)という面の二つの局面があります。
歯周病の進行が全顎的に均一に進行する例は少なく、特定の部位にのみ限局的に顕著に現れるのは、特定の歯のみに咬合性外傷が現れることも一因となっています。
したがって、先に述べた細菌感染の制御以外に、弱った歯周組織にかかる力をコントロールし、安定した咬合を保全することも歯周治療です。
このように、歯周病の治療においては、炎症の除去と咬合力のバランスの維持が重要です。

症例

BEFORE

AFTER