新しい治療

再生療法

21世紀の医科領域では再生療法は大きな話題を呼び、ES細胞やiPS細胞などの幹細胞、細胞増殖因子、足場などを活用した組織工学的手法が組織再生に用いられています。歯科領域においても同様で、歯周炎により破壊された歯周組織を再生し機能させることは、歯周治療の重要な課題です。そして、いくつかは現在、臨床応用され、それらは歯周組織再生療法と呼ばれています。
歯周組織再生療法には、骨移植術、組織再生誘導(guided tissue regeneration :GTR)法、エナメルマトリックス蛋白質(エムドゲインR)などがあります。

1 骨移植術

歯周病、咬合性外傷により破壊された歯槽骨欠損部に移植材料を充填することにより、歯周組織の再生を図る方法です。
移植材として、自家骨(自分の骨)、他家骨(他人の骨)、異種骨(牛などの骨)、人工骨(ハイドロキシアパタイトや三リン酸カルシウム  tricalcium phosphate: TCP)があり、それぞれ骨再生能力に特徴があります。

 2 GTR法

歯周外科処置後の歯槽骨欠損部に、生体親和性が高く、かつ細胞遮断効果やスペース保持硬化の高い膜を留置し、骨欠損を被覆する方法です。この方法により、創傷治癒の場から上皮や歯肉組織が排除され、歯根膜、骨由来の細胞の遊走、活性化が起こり、歯槽骨や歯根膜の再生を伴う歯周組織の再生が期待出来ます。

 3 エナメルマトリックス蛋白質

エナメルマトリックス蛋白質とは、歯胚形成期において、エナメル芽細胞から分泌される蛋白質です。
この蛋白質は、歯胚形成期において、エナメル質だけでなく、象牙質、歯根セメント質、歯槽骨や歯根膜の形成にも重要な役割を果たしており、歯周組織の発生の鍵を握っていると考えられています。
そして、1990年代にHammanstromらによって、このエナメルマトリックス蛋白質を歯周外科手術に用いることによって、歯周組織の再生が得られることが確認されました。エムドゲインRゲルは、スウエーデンのビオラ社で開発された幼若ブタの歯胚から抽出したエナメルマトリックス蛋白で、歯周外科手術に応用しやすいように調整された歯周組織再生用材料です。

*生化学工業のパンフレットより引用

当院では、エムドゲインRを始めとした歯周組織再生療法に力を入れています。人は失うまでは当たり前のように身の回りに存在するものの価値に気づかない愚かな存在。その大切なものを失ってしまった時、あるいは失いかけた時、心をよぎる後悔の念をよく理解出来ます。当院はそういった患者様の歯と歯周組織の再生の支援を使命と感じています。

審美修復

患者様側の審美的要求の高まりや、現代修復治療学におけるメタルフリーのコンセプトの隆盛、そして多様なオールセラミックシステムの登場により、オールセラミッククラウンの使用頻度は年々増加の一途をたどっています。
オールセラミッククラウンとは、メタルを使用せず、セラミックのみで作製したクラウンです。
従来、セラミック冠は、強度を得るためにメタルの上にセラミックを焼き付けるメタルセラミッククラウン
(ポーセレンメタルボンド冠)が一般的でした。
しかし、これは金属色の遮蔽を必要とし、天然歯特有の透明感や半透明感の再現性を困難にすると共にシャドウを誘発する欠点がありました。
近年、強化型セラミックであるジルコニアの出現により、メタルフリーの新しいオールセラミッククラウンが
普及しつつあります。
オールセラミッククラウンの最大の利点は色調再現性であり、それはセラミック材による光の透過性や反射という光学的特性に負うところが多いのです。
オールセラミッククラウンは、審美的には光を完全に遮断するメタルセラミッククラウンに比較して、光の透過性において優位で、シャドーの発生が少なく、修復物の自然観が高いのが特徴です。
当院においても、従来のメタルセラミック冠以外に、審美性に優れたオールセラミック冠も使用し、
審美修復に取り組んでいます。

症例

エムドゲインを用いた再生療法

エムドゲイン bwfore 矢印 after
BEFORE AFTER

審美修復

before 矢印 審美修復 矢印 after
BEFORE   AFTER