ジルコニアセラミックの進化 ~2~

これはどういうことかというと、ジルコニアは強度があるけれどもあまり審美的な材料でないので、前歯部に使用する際には前装陶材を接着していたことに起因します。つまり、ジルコニアが前歯部に使用される場合には、ポーセレンメタルボンド(PFM)と同様に強度はジルコニアにゆだね、審美性は前装陶材にゆだねる、といったような二層構造を持っていたからです。いわゆる“(ポーセレン)ジルコニアボンド”と呼ばれるものです。

このような性質の違う二種類のセラミックスが一体化したような構造物の欠点として、両者の界面から前装陶材が剥離したり、前装陶材がチップしたりすることは起こり得ます。それが生存率85%の主な理由でしょう。この現象は、前装陶材自体の強度不足、前装陶材とジルコニアの接着力不足、弾性率や熱膨張係数の違い、ジルコニアフレームの形態が前装陶剤を保持できる形態になっていない、等などの要因が存在するからです。

この欠点を補うために、最近になって登場したのが単層構造ジルコニア修復物(モノリシックジルコニア)です。モノリシック(Monolithic)とは「一体となっている」、あるいは「一枚岩」という意味の英語です。このモノリシックという用語は、ジルコニアの組織的な性状ではなく、ジルコニアを使った修復物の状態をいいます。ジルコニアだけで作られた状態の修復物が“モノリシックジルコニア”で、“フルジルコニア冠”ともいいます。

(次回に続く)