口呼吸が健康に悪いことは理解できたが、なにが口呼吸を招くのだろう?その前に、人間の本来の呼吸は鼻呼吸であることを確認しておきたい。生まれた時は人間は全員、鼻呼吸だ。それが、一生持続すればいうことはないのだが、多くの人の場合(約9割)、後天的に口呼吸に変化する(1)。それは一体なぜだ?
今井一彰先生よれば、口呼吸は下記に挙げる悪い生活習慣が関係している。
1)よく咬まない:現代の子供たちは硬いものを咬まない傾向にあり、結果、舌や口の周囲の筋肉が衰え、口が閉じれなくなる。
2)ため息・喫煙:ストレスや過労からため息を多くついていると、舌が下がり、口が開くようになる。
3)うつぶせ寝・頬杖:うつぶせ寝や頬杖は顔の筋肉のバランスを崩し、結果、口が開きやすくなる。
4)よく話す・歌う・吹奏楽:おしゃべり好きの人やアナウンサー、また吹奏楽者は口だけで呼吸をするようになりやすい。
5)鼻づまり・鼻炎:鼻が使えないと、必然的に口から呼吸するようになる。
6)口を閉じる意識の低さ:昔は口がぽかんとひらいていると親や先生に口を閉じるように注意されたが、今はそういう大人が減ってきた。結果、口を閉じていないことが、みっともないことである認識が薄れ、口を開いている状態を普通と考える間違った意識が口呼吸を許す。
7)マスクの不用意な着用:マスクは線維を通過して空気を取り入れるので空気の量が不足し、口で呼吸を補うようになる。だから口呼吸になる。
8)激しいスポーツ・太極拳・妊娠時の呼吸法:激しいスポーツは鼻だけでは空気の取入れが不十分なので口から空気を取り入れるようになる。太極拳・妊娠時の呼吸法も口から吐くことを指導される。これが口呼吸を習慣づける。
以上のような生活習慣が口呼吸をつくり出す。生活習慣は認知し、改めようとする行動を起こすことで変えることができるはずだ。
参考文献:(1)今井一彰. 自律神経を整えて病気を治す 口の体操あいうべ. マキノ出版. 東京. 2015.