抜歯即時インプラント埋入における埋入深度について

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抜歯した直後に,その抜歯窩にインプラントを埋入することがある.抜歯即時埋入と呼ばれる術式だ.その際,インプラントを抜歯窩のどのポジションに埋めるかは重要な問題だ.三次元的に,頬舌的,近遠心的,そして埋入深度の三つの要素が規定されればインプラントの位置は決定される.今日は,埋入深度について書く.

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インプラントの埋入深度は,深すぎても,浅すぎてもいけない.先ず深さの目安となる基準点だが,上顎前歯にフラップレスで埋入する場合,自分は抜歯窩の頬側歯肉縁中央の基準点から3.5mmの深さにインプラントのプラットフォームが位置するように埋入してる.その理由は,生物学的幅径(歯肉溝+上皮付着+結合織付着)を約3mmと見積ると,歯肉縁から3mm下方が歯槽骨縁に一致するはずであるが,術後の骨吸収を見越して,0.5mmさらに深く見積もるので,歯肉縁から3.5mm程度が良いのだろうと考えている..

 

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ところで,抜歯窩に即時にインプラントを埋入する場合には,インプラントと骨壁とのギャップを骨補填材で充填するのだが,この場合,歯槽骨辺縁の高さは,1年後には埋入時の高さより0.15mm根尖側に向かって骨吸収により下がるという報告がある.埋入後,ある程度の骨吸収が起こることを想定して埋入ポジションを決定することが重要になって来るわけだ.