プロバイオティクスの歯周ポケット内投与および口腔リンスは歯周病を改善する

 昨日は糖尿病患者の歯周ポケット内へのスタチン局所投与が有効な話を書いたが、今日は全身的に健常な歯周病患者の歯周ポケット内へのプロバイオティクス投与が歯周病を改善するという報告(1)に着目したい。プロバイオティクスとは”生体に有益な微生物”をいうが、具体的には腸内細菌の乳酸菌Lactobacillus やビフィズス菌 Bifidobacterium をさす。

 近年、プロバイオティクスはメディカルにおいて、胃腸疾患や気道感染症などに応用されているが、最近は歯科においてもその応用が着目されてきている。たとえば、虫歯の原因菌である悪玉のストレプトコッカス・ミュータンスを抑え込む善玉のプロバイオティクスを投与して虫歯を予防する試みが行われている。

 歯周病の治療においても、最近、プロバイオティクスのトライアルが報告され始めている。プロバイオティクスはチューインガムや錠剤の形で提供されているが、本報告のように、プロバイオティクスの歯周ポケット内への局所投与を同剤の口腔リンスと併用して使用した報告はたぶん初めてだ。プロバイオティクス投与で歯周病が改善するならば結構なことだ。

 昨日のスタチンといい、プロバイオティクスといい、メディカルですでに実績のある薬剤が歯科においても有効であることが明らかになることはよいことだ。メディカルとデンタルが、将来、融合していく可能性が示唆されて興味深い。

参考文献(1):

J Res Pharm Pract. 2016 Apr-Jun;5(2):86-93.

Efficacy of local use of probiotics as an adjunct to scaling and root planing in chronic periodontitis and halitosis: A randomized controlled trial.

Penala S, Kalakonda B, Pathakota KR, Jayakumar A, Koppolu P, Lakshmi BV, Pandey R, Mishra A.