歯周病と糖尿病(1)

 昨日、歯周病と全身のセミナーに参加する機会があったので、今日は歯周病と全身疾患のテーマでいこう。まずは糖尿病だ。

 糖尿病は高血糖を起こす代謝異常疾患で、様々な合併症を引き起こすところが厄介だ。その合併症には心血管疾患や失明など、重大な物が含まれているので、糖尿病を甘く見てはいけない。長生きをしたかったら、糖尿病になってはならない。合併症で寿命を縮めてしまう。センテナリアンには、糖尿病と動脈硬化はほとんどないそうだ。だから、長生きしたい奴は絶対に糖尿病になってはいけない。僕も糖尿病になってはいけない。長生きしたいからな。でも、血糖値が少し高めなんだよううう~。だから、糖尿病の知識は真剣にとりいれるぞ。そして、生活習慣の改善で、血糖値を正常化するぞ。真剣にとりくめば必ずできる。疾患を予防したければ、その病態を理解することだ。そうすれば必ず改善できるはずだ。まずは、歯科医師にとってなじみの深い歯周病とリンクさせて、知識をブラッシュアップだ。

 厚生労働省の平成24年の調査では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)は約950万人、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)は約1,100万人と推計されている。糖尿病が強く疑われる者と糖尿病の可能性を否定できない者を合わせると約2,050万人だ。日本人口の16%だ。

 一方、歯周病は、平成23年歯科疾患実態調査によると、日本人の約70%に何らかの歯周病の症状が認められ、軽度の歯肉炎まで含めると成人の80%が様々の病態の歯周病に罹患していることが報告されている。これってもの凄い数字だ。なぜ、凄いかというと、歯周病は糖尿病や心血管疾患をはじめ、多くの全身疾患に悪影響を及ぼす可能性があるからだ。だから、歯周病と全身疾患との関係性についてしっかり学ぶことは大いに意義があるのだ。

 さて、糖尿病に戻るが、糖尿病は1型と2型に大別できる。1型はインスリンを産生する膵臓のβ細胞の破壊によりインスリンを産生出来なる結果、インスリンが欠乏するタイプの糖尿病だ。一方、2型はインスリン産生能は保たれているが、その分泌量が不足していたり、インスリンの指令をうまく細胞核に伝達できないタイプの糖尿病である。

  さて、歯周病と糖尿病は、双方向に影響を及ぼしあうといわれている。つまり、糖尿病の存在は歯周病の進行を早め、同時に、歯周病の存在は糖尿病を悪化させるという関係がある。

 糖尿病が歯周病を悪化させることは周知の事実だ。一方、歯周病が糖尿病に与える影響に関しては、多くのシステマティックレビューとメタアナリシスがあり、歯周病の治療を行うことにより、HbA1cが改善することは間違いないようだ(2)。

 

参考文献:

(1)厚生労働省HP

(2)Borgnakke WS, Yl€ostalo PV, Taylor GW, Genco RJ. Effect of periodontal disease on diabetes: systematic review of epidemiologic observational evidence. J Clin Periodontol 2013; 40 (Suppl. 14): S135–S152. doi: 10.1111/jcpe.12080.