セラミックの優位性 ~なぜセラミックは銀歯より優れているのか~ 3

昨日はセラミック冠は保険の金属冠に比較して虫歯や歯周病になりにくいという話をしました。その理由として、セラミック冠の装着の際に用いられるレジン系セメントが、保険の金属冠に用いられるルーティングセメントに対して溶け出しにくいからだと説明しました。

セラミック冠が虫歯や歯周病になりにくいもう一つの理由として適合精度の問題があります。そこで今日は適合精度の話をします。

二番目のセラミック冠の優れた点として、適合精度が保険の金属冠よりも良い点があげられます。適合精度が良いと何が有利なのでしょうか?じつは適合精度が悪い、いわゆる不良補綴物(ほてつぶつ)と呼ばれるクラウンは虫歯や歯周病のリスク因子となります。

歯に被せるクラウンの適合精度が良いに越したことはありませんが、実をいうと多少の不適合があってもブラッシングが完璧であれば、必ずしも虫歯や歯周病になるとは限りません。一般には段差があればそこに汚れがたまりやすいのですが、たとえ段差があっても抜群に清掃ができていれば汚れが付かないわけで、虫歯や歯周病になりません。しかし、清掃があまりよくなければ、段差がついているとプラークがたまってきます。そうなるとやはり虫歯や歯周病が起こりやすくなります。ですので、クラウンの適合が悪いことは、清掃状態が抜群でない限り、虫歯や歯周病のリスク因子になるのです。だから適合精度が良いことは虫歯や歯周病を予防する重要な条件です。

セラミック冠の製作における印象採得(=型採り)は、現時点でその方法として一般的なのはシリコン精密印象とスキャナーを用いた光学印象です。このシリコン印象は、保険で一般的に使用される寒天+アルジネート印象よりも精度が勝っています。また、光学印象は患者さんの口の中で歯の形を直接スキャナーで読み取るので、高精度の印象が取れます。デジタル技術はアナログ技術を凌駕するのです。したがって印象の段階で精度の面でセラミック冠が勝っています。

(次回に続く)