歯科用金属をめぐる不都合な真実 1 ~アマルガム~ 

今日は歯科用金属の話をしましょう。現在、歯科界にメタルフリーの潮流が押し寄せてきている背景には、国民の健康意識水準の高まりに伴い、人体に対するメタルのマイナス効果への配慮があります。つまり、歯科用金属が健康被害をもたらす可能性があるのです。以下、具体的に言及します。

まず有害金属の筆頭は「アマルガム」です。アマルガムは水銀を含む歯科用合金で、その組成は、銀(65%以上)、スズ(25%以上)、銅(6%以上)、亜鉛(2%以下)、水銀(3%以下)(JIS規格)となっています。歯科で全世界的に長年、充填材料として用いられてきましたが、わが国では2016年4月の診療報酬改定(厚生労働省)でアマルガム合金は健康保険から外され、廃止となりました。水俣(みなまた)病の原因が有機水銀であることを厚生省が表明したことで、水銀が人体に極めて重大な害を及ぼすことが決定的となったことが背景にあります。

水俣病は水俣にあったチッソ水俣工場のアセトアルデヒト製造工程で排出されたメチル水銀が工場排水と共に排出され、環境を汚染し、汚染された魚介類を地域住民が食べたことが原因と断定されました。

水俣病の症状として、主に出現するのは中枢神経系の異常で、主に脳が障害されることで引き起こされます。具体的には、頭痛をはじめ、四肢末端、舌、口唇の痺れ、深部及び表在知覚障害、運動失調や構音障害、振戦といった小脳の症状、不安、抑鬱、興奮、不眠といった精神症状、視野狭窄、難聴、唾液分泌過多や発汗異常といった自律神経の症状などが見られます。
(次回に続く)