光殺菌歯周治療 2 ~活性酸素とは~

本日は活性酸素の話をします。

「活性酸素」という言葉はよく聞きますが、いったい何なのでしょう?
よく聞くのは、「活性酸素は老化をもたらす」とか、「がんになる原因は活性酸素が体の細胞や大切な分子を障害するから」とか、体にとって良くないものの代名詞のような使われ方です。しかし、実際には活性酸素は細菌やウイルスを酸化分解してくれたり、臭いや汚れも酸化分解してくれたりして、除菌や漂白剤などとして生活面で良いこともしています。空気清浄機などの脱臭や抗菌効果も活性酸素を利用しているといわれています。だから「活性酸素」にはよい面もあるのです。

じつは酸素は、息をすれば一部のもの(約2%)は必ず体の中で活性酸素となります。そして「活性酸素」とは特定の物質の名前ではなく、大気中に含まれる「酸素がより反応性の高い化合物に変化した物質群の総称」になります。酸素は私たちが生きていくうえで欠かせない空気中にあるものですが、もともと反応性が高く、色々な物質と化学反応することが知られています。この酸素がいろいろな物質と反応することでさらに他の物質と反応しやすくなった(活性化された)状態になるので、この状態を広い意味での「活性酸素」と呼びます。

したがって、活性酸素には色々な物質がふくまれるのですが、その中でも以下の4つの物質を狭義の「活性酸素」と呼んでいます。
• スーパーオキシド
• ヒドロキシルラジカル
• 過酸化水素
• 一重項酸素
このうち、「スーパーオキシド」と「ヒドロキシラジカル」の2つはフリーラジカルと呼ばれ、活性酸素のなかでも活性が高いものですが、とりわけ「ヒドロキシラジカル」は活性酸素の中でも最も活性が高いとされています。

前述したように活性酸素には良い面も悪い面もあります。酸素は室温で酸化反応を起こすので、栄養分を燃焼させてエネルギーを取り出す大事な役割で使われます(ミトコンドリア内で)。その際、活性酸素が必然的に発生します。その他にも、抗菌作用があるので免疫系にも欠かせません。白血球やマクロファージが細菌やウイルスをやっつけることができるのは活性酸素を利用しているからです。
だから活性酸素は生きていく上で、なくてはならないものなのです。しかし、同時に、活性酸素は反応性が高すぎて、細胞内の物質と反応して正常な体の細胞を損傷させてしまうことがあります。これが、癌や生活習慣病の原因になったり、老化を促進させる原因にもつながります。その他、活性酸素は多くの疾患の発生原因にかかわっていることが分かっています。だから、活性酸素は「もろ刃の剣」ですね。
 (次回へ続く)