今日はインプラント学会2日目です。

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 2日目の午前は、3人のエキスパートの国内招待講演を聴講した。
 
   まず、一人目は中村社綱先生で、“前歯部審美領域のインプラント治療成功のためのポイントと将来展望”という演題で講演された。
 
   二人目は武田孝之先生で、「補綴的立場から見たインプラント治療の現状と将来」という演題の講演だった。インプラント治療を長期的に経過観察すれば、「異常な力」、「偏った力」の結果として起こる補綴的問題に遭遇する実例を多数紹介され、インプラント治療における“力の管理”、“力のもたらす生体および補綴物への影響に対する洞察力”の重要性を強調された。
 
 今回の学会のテーマが「より適切で確実なインプラント治療へ」とあるように、最新、最先端のカッティングエッジを追求するよりも、歯科医療の本質である、炎症と力の管理をしっかりと行うことが重要だと思った。具体的には細菌感染と真っ向から闘ったり、経年的に変化する咬み合わせをしっかりと観察し対応していく地味な医療が、結局、最も尊いのだ。
 
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 当然といえば当然だが、天然歯の病気である歯周病はしっかりとしたプロトコール下で管理されれば治癒し、そして予防も可能なことはすでに明白であるゆえ、インプラント周囲炎も理屈にかなう手当を治療後も継続すれば予防可能であり、また治癒させる事も可能なことは理論上確信していたが、船越先生の実績を伴う発表を聴き、歯周病の管理のできる良心的な歯科医のもとでインプラント治療がなされ、しっかりとしたアフターケアを受けることがインプラントの長期予後のために極めて重要であることを再認識させられた。埋入の本数だけを誇る打ちっぱなしのインプラント歯科医は、間もなくインプラント業界から消え去るだろう。 三人目は恩師であり、わが国屈指の歯周病専門医である船越栄次先生で、「歯周炎患者におけるインプラント治療のリスク回避」という演題の講演だった。最近のインプラント学会でのトピックスになっているように、インプラント周囲炎の罹患率はかなり高い(40%程度)ことがわかってきており、特に歯周病で歯を失った患者さんではその傾向が顕著であることが知られてきている昨今であるが、船越先生の講演では、インプラント治療に入る前に歯周病の治療を徹底的に行えば、インプラントの長期予後は良好であることが報告され、われわれを安心させてくれた。