インプラントの好ましい活かされ方 ~症例2~

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すべての歯列をインプラントで作り上げるのは歯科医にとっては魅力的かもしれませんが、患者様にとってはどうでしょう?おそらくはいささかハードルが高いのではないでしょうか?私はインプラントが最も活かされる局面は、おそらく天然歯と共存するケースではないかと思います。右のパノラマX線写真の歯列の中には、すでに失われていたり、今後残すことが不可能な歯が何本か含まれています。

 

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右上顎の臼歯部には、保険のフルメタルブリッジが装着されていましたが、よくあることなのですが、歯頚部の不適合に起因する磨き残しから、歯頚部カリエス(虫歯)ができていました。この歯頚部カリエスはかぶせ物の裏側の歯質を侵しますが、根尖側に著しく浸食している歯は抜歯となります。

 

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反対側の左上顎の歯の状態も同様で、歯頚部カリエスが見られました。天然歯はとても貴重なもので、できるだけ抜きたくないのですが、どうしても保存が困難な時はやむなく抜かざるを得ない、しかし残りの歯はこれ以上削ったり、かぶせ物を入れたりして痛めつけたくない、こういう時こそインプラントが活かされると思います。

 

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右のパノラマX線写真は治療後ですが、7本の歯はインプラントに置き換わりましたが、天然歯もまだまだ残っています。抜きたくないが、どうしても抜かないといけない時、インプラントで失った歯を代償するけれども、残りの歯はできる限り本来の寿命を全うさせたい、そのような願いを込めてインプラントは使われるべきものと思うのです。この場合、インプラントの役割は残存する天然歯の救済です。

 

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インプラントは垂直的な咬合力を支える能力が高いため、残存する天然歯が受ける咬合力の荷重を免荷出来ます。よって、救済の役割を果たせるわけです。

 

 
 
 
 
 
 

 

 

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インプラントの好ましい使われ方とは、残存する天然歯を少しでも長く持たせることに貢献する形で歯列内に登場するような使われ方だと思っています。