インプラント治療後の経過観察では、何に着目するのか?そして、何をするべきか?

 インプラント治療が完了してからあと、どのような点に着目する必要があるのか?というテーマで書こう。

 インプラントが埋入されている口腔のメインテナンスにおいて、着目する点はインプラント周囲病変が起っていないか、どうかのチェックだ。インプラント周囲組織はバリアーとしては脆弱なので、インプラント周囲の感染リスクは、天然歯以上に高い。

 具体的なチェック項目として、1)インプラント周囲のプロービングデプス 2)プロービング時の出血 3)排膿の有無 4)インプラントの動揺度 5)デンタルX線写真撮影により骨吸収の確認 6)プラーク付着の有無 7)口腔内写真撮影による観察、が挙げられるだろう。

 インプラント周囲ポケットが深まっており、ポケットからの出血と排膿が伴えば、インプラント周囲骨の吸収を起こしている可能性は極めて高い。

 メインテナンスにおける診査でインプラント周囲炎が認められた場合、直ちにその救済をしなければならない。もし、認められなければ、やることはセルフコントロールの指導、つまりTBIと、プロフェッショナルコントロールのPMTCだ。

 以前は、PMTCはDH(歯科衛生士)に任せていたが、メインテナンスにおけるインプラント周囲炎の早期発見が極めて重要との観点から、最近では、個人的には、PMTCの内容に関心が高まってきているところだ。

 参考文献:三上 格,下野正基.基礎と臨床からみるインプラント治療後の維持管理. ザ・クインテッセンス. Vol.35. 48-67.2016