セラミック冠が推奨される一番の理由とは

 歯冠修復治療において、オールセラミック冠は、金属冠や金属焼き付けポーセレン冠を抑えて第一選択の座を占める勢いで普及してきている。確かに、セラミック冠は金属冠に比較して優れた特徴を持っている。たとえば、表面が滑沢故にプラークが付きにくい、金属色でなく白い歯が入る、金属アレルギーが起らない、などである。これらは、真実なので、確かにセラミック冠の優位性を示す根拠ではある。

 しかし、僕がセラミック冠を推奨する一番の理由は他にある。それは、マージンの位置を歯肉縁上に設定できる点だ。マージンの位置に関しては、歯肉縁より上に置く、歯肉縁に一致させる、歯肉縁より下に置く、の3通りの方法がある。このうち、歯周病の管理面からは、歯肉縁より上のマージンが絶対に良い。プラークコントロールをし易いからだ。それを裏付けるエビデンスはいくらでもある。マージンを歯肉縁上に設定した方が長期的に歯周病に罹患しにくいのだ(1)。

 マージンは歯肉縁上に設定する方が絶対に歯周病を管理しやすいのだが、問題は金属焼き付けポーセレンなどの金属をフレームに使用するタイプの修復物はマージンがブラックになるので、前歯部では歯肉縁上に設定しにくいことだ。してもよいが、決して審美的な結果にはならない。ところが、オールセラミック冠では、マージンが歯質と同様の色であるゆえに、歯肉縁上にマージンを設定しても目立たない。ゆえに平気でマージンを歯肉縁上に設定できるわけだ。これは、歯周病にならないように管理する上で、絶大なアドバンテージだと思う。この点で、セラミック冠はメタルを使用する歯冠修復物よりも優れており、これこそがセラミック冠をお勧めする一番の理由なのだ。特に、生活歯の場合、セラミックの歯肉縁上のマージンは全く目立たず、ベストだ。

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左上④5⑥ブリッジはセラミックブリッジゆえ、マージンは縁上に設定しているにも関わらず、目立たない。一方。左上2はセラミック冠でないため、マージン部がブラックである。

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右上3~左上3は歯周治療後、レジン前装冠を装着している。歯周病はきれいに治っているが、マージンが縁上のため、レジン前装冠のマージンはブラックとなっている。

 

参考文献:

(1)Jansson L, Blomster S, Forsgårdh A, Bergman E, Berglund E, Foss L, Reinhardt EL, Sjöberg B. Interactory effect between marginal plaque and subgingival proximal restorations on periodontal pocket depth. Swed Dent J. 1997;21(3):77-83.

 

 

 歯冠修復治療において、オールセラミック冠はいまや、金属冠や金属焼き付けポーセレンを抑えて、第一選択になりつつある勢いである。残念ながら、保険診療外ではあるが、セラミック冠は金属冠に比較して優れた特徴を持っている。たとえば、表面が滑沢故にプラークが付着しにくい、金属色でなく白い色の歯が入る、金属アレルギーが起きにくい、などだ。これらは、一応、真実なので、セラミックの有意性を裏付けるもっともな根拠ではある。

 しかし、僕がセラミック冠を推奨する一番の理由は、マージンの位置を歯肉縁上に設定できることだ。

 歯冠補綴物のマージンの設定に関して、歯肉縁より上方に置く、歯肉炎に一致させる、歯肉炎より下方に置く、の3通りの方法がある。このうち、歯周病の管理の面からは、絶対に歯肉縁上にマージンを置く方が優れている。プラークコントロールしやすいからだ。それを裏付けるエビデンスはいくらでもある(1)。

 

参考文献:

(1)Jansson L, Blomster S, Forsgårdh A, Bergman E, Berglund E, Foss L, Reinhardt EL, Sjöberg B. Interactory effect between marginal plaque and subgingival proximal restorations on periodontal pocket depth. Swed Dent J. 1997;21(3):77-83.