「ゼロ」にみる理想の仕事観~1~

 堀江貴文氏の「ゼロ」を新幹線の中で読んだが、これはまさしく良書だ。かなり以前に、ホリエモンの「稼ぐが勝ち」という本を読んだが、今回のほうがずっといい。何がいいのかというと、自分を含めて、すべての働く人間にとって必要なものは、「何のために働くのか」という問いかけに対する答えなのだが、それを「仕事観」と呼ぶとすると、ここには理想的な「仕事観」が見事に書かれているのだ。以下引用。

 『僕が最初に与えられた仕事は、無地の紙袋をひたすら折っていく作業だった。長野刑務所への移送が決まる前、東京拘置所に身柄を置かれた翌日のことである。

 与えられたノルマは1日50個。担当者から折り方のレクチャーを受け、早速作業を開始する。ところが、意外にこれがむずかしい。当初は「たったの50個?」と思っていたのに、時間内にノルマを達成するのもギリギリだった。いくら不慣れな作業だとはいえ、くやしすぎる結果だ。

 どうすればもっと早く、うまく折ることができるのか?レクチャーされた折り方、手順にはどんなムダがあるのか?折り目を付けるとき、紙袋の角度を変えてはどうか—-?

 担当者から教えてもらった手順をゼロベースで見直し、自分なりに創意工夫を凝らしていった。その結果、3日後には79個折ることができた。初日の1.5倍を上回るペースだ。単純に楽しいし、うれしい。

 仕事の喜びとはこういうところからはじまる。もしもこれが、マニュアル通りの折り方で50枚のノルマをこなすだけだったら、楽しいことなどひとつもなかっただろう。いわゆる「与えられた仕事」だ。

 しかし、マニュアル(前例)どおりにこなすのでなく、もっとうまくできる方法はないかと自分の頭で考える。仮説を立て、実践し、試行錯誤を繰り返す。そんな能動的なプロセスの中で、与えられた仕事は「つくり出す仕事」に変わっていくのだ。仕事とは、誰かに与えられるものでない。紙袋折のような単純作業でさえ、自らの手で作っていくものなのである。』

 引用ここまで。

 仕事に対する取り組み方のあるべき姿が、見事に表現されていると思う。

参考図書:堀江貴文. ゼロ. ダイヤモンド社.東京.2013