閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSAS~1~

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSAS(Obstructive Sleeo Apnea Syndrome)は、睡眠中の咽頭閉塞により呼吸と睡眠が障害されることから様々な症状を呈する全身疾患である。具体的には、いびき、昼間の眠気、睡眠中の無呼吸、睡眠中の息ぐるしさ、夜間の覚醒、頻繁な寝返り、起床時の頭痛、熟睡感の欠如、集中力の低下、倦怠感、起床時の口渇といった症状を呈する(1)。また、OSASは高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、虚血性心疾患、不整脈、脳血管障害など、さまざまな合併症を引き起こす。重症のOSASではこれらの合併症により、死に至ることもある。

 合併症は低換気、すなわち酸素不足に起因するもので、酸素不足が睡眠時に繰り返し起こると交感神経が亢進し、血圧が不安定となり糖尿病の危険性や動脈硬化が促進し、不整脈や脳卒中も起こる。

 原因は太りすぎであることが多いが、やせていても下顎が小さいと起こる。これは、咽頭気道周囲の軟組織量と上顎・下顎・頸椎などの骨構造物の容量のバランスで決まる(2)。要は気道を構成する構造物を単純化すると硬組織(上顎骨・下顎骨と頸椎)はハコ、軟組織はニクとすると、ハコの内面にニクが張り付いているのだが、ハコが正常でもニクが多ければ気道は狭まり、ニクが正常でもハコが小さければやはり気道は狭まるというわけだ。

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               文献1より引用

参考文献:

  (1)坂井丘芳監修, 奥野健太郎 編, 睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療. 医歯薬出版. 2014 

  (2)磯野 史郎. 閉塞性睡眠時無呼吸症:歯科医師の役割.  Dental Medicine Research 34(1): 2-5. 2014