歯科用金属をめぐる不都合な真実 6 ~金属アレルギーの症状~

ところで、歯科金属アレルギーが起こると、どのような不都合が起こるのでしょう?このアレルギーは花粉や食物によるⅠ型(即時型)アレルギーのようにすぐに症状が出ません。Ⅳ型(遅延型)アレルギーといい、歯科治療でパラジウム合金を口の中に入れてから何年も経てから症状を出すことがあります。

歯科金属アレルギーの主な臨床症状は、金属との接触部に起こる接触皮膚炎や粘膜炎、そして口腔から離れた遠隔部位の湿疹や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などです。

症状が口腔から離れた部位に現れた場合、たとえば手のひらや足の裏など、全身に症状があらわれることがあり、歯科治療が原因とすぐに診断がつかないことがあります。たとえば皮膚科疾患として扱われる掌蹠膿疱症がその一例ですが、この疾患は手足、足底に多数の「みずぶくれ」や「うみだまり」をくりかえし作る病気です。そして膿の中には細菌がいないので人に感染しません。皮膚科でステロイド剤や抗アレルギー剤、等で対応していますが、改善が見られない場合は歯科治療で行われた銀歯の金属アレルギーを疑う必要があります。
ちなみに掌蹠膿疱症の原因や発症機序は完全に解明されていません。そして金属アレルギーだけが原因ではなく、喫煙、扁桃炎や歯周炎などの病巣感染、ビタミン(ビオチン)不足、遺伝的要因など、いろいろな原因が考えられています。しかし、金属を除去することで症状が改善することも多く報告されているので、金属アレルギーの可能性を常に考えておかねばなりません。

症例写真は以下のホームページで参照出来ます。
https://www.dermatol.or.jp/

(次回へ続く)