歯科用金属をめぐる不都合な真実 10 ~金属アレルギーの治療~

パッチテストで、ある金属に対して(たとえばパラジウムやニッケルなど)陽性反応が出たら、その被疑原因金属を除去して様子を見ることになります。口の中に入っている金属の除去は歯科の仕事ですので、医科と歯科との密接な連携が必要です。

原因と思われる金属を除いて例えば2ヶ月程度の短期間で皮膚症状が改善することもありますが、中には10ヶ月あるいはそれ以上待ってから症状も改善が見られるケースもあります。そして、症状が改善したことを確認後、非金属の修復材料で歯の充填や被服をすればよいのです。

ところで金属を除去して以降、症状が改善するまで金属を取り除いた穴はどんな材料でで詰めておいたらよいのでしょうか?答えは、接着性レジンセメントやアイオノマーセメントで仮の詰め物をしたり、レジンと呼ばれるプラスティックでテンポラリークラウン(仮の被せもの)を入れます。ただし、レジンに対してもアレルギーが起こることもあるので、あくまでも仮の材料として様子を見ます。経過観察の間に問題が起こらなければ、最終修復処置として、小さな穴を埋める程度の充填であればそのままレジンが充填材料となります。また、大きな欠損や被せものの場合は強度が必要ですので、セラミックで修復されることになります。レジンでもアレルギーが起こるようであればセラミックで歯の欠損を充填することになります。セラミック自体にはアレルギーは起こりません。ただし、セラミックを歯に接着するセメントに対してアレルギーを起こす可能性はあります。
(次回に続く)