今日は左下6を抜歯後、インプラントを前提に、リッジプリザベーションをしました。

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 歯を抜くと、直ちにそれまで歯根を支えていた歯槽骨の吸収が急激に起こることが知られています。その吸収は、歯槽骨の高さも幅も減少させます。後続治療としてインプラントが予定されている場合は、その吸収は不都合です。インプラントは、しっかりとその四方が骨で支えられていることが、長期のインプラントの安定と強く関係しているからです。

 この抜歯後の歯槽骨吸収を抑制する方法として、リッジプリザベーションがあります。これは、抜歯窩に骨補填材と呼ばれる、将来自分の骨を誘導する活性を持つ生物材料や、ハイドロキシアパタイトという吸収されにくいリン酸カルシウム結晶を抜歯窩に詰めるテクニックです。これにより抜歯後の骨吸収は最小限度に抑制されます。

 今日は、右のデンタルX線で示されるような歯根周囲に著しい骨吸収を伴った左下6番を抜歯し、即時にリッジプリザベーションを行いました。

 

 

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抜歯窩は感染を伴った不良肉芽で充満されていました。これを時間をかけて、徹底的に除去することが重要です。感染病巣を残したまま骨補填しても、決して良質な骨は再生されないからです。

 

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抜歯窩に骨補填材として、凍結脱灰乾燥骨を補填し終わったところです。最後に補填材表面をフィブリン膜(CGF)でカバーして、オペ終了。このリッジプリザベーションの有効性は、システマティックレビューとメタアナリシスで確認されています。

Effect of alveolar ridge preservation after tooth extraction: a systematic review and meta-analysis.

Avila-Ortiz G, Elangovan S, Kramer KW, Blanchette D, Dawson DV.

J Dent Res. 2014 Oct;93(10):950-8. 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24966231