インプラント周囲炎を起こし易い上部構造の形態

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 右の写真の左の端のインプラントの上部冠は、これから上部冠を作製するための試作段階のアバットメントと試作冠だ。適合度をX線で評価できるようにメタルとレジンで出来ている。

 ところで、この試作冠の形態はあまりよくない。二つよくないところがあって、一つ目はアバットメントの高さが低すぎること、二つ目はアバットメントと冠辺縁の移行部に隅角が存在しアンダーカットができてしまっているところだ。いずれも、将来、インプラント周囲炎を引き起こす原因になり得るので、明日、テクニシャンとディスカッションしてファイナルではこの点を改善する予定だ。

 

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 なぜアバットメントの高さが低くなるかというと、テクニシャンは審美を優先して、冠辺縁を歯肉縁下に入れこもうとするからだ。隅角が生じてアンダーカットができるのもその理由から。ところが、これはよくない。アバットメントと冠辺縁の移行部のレベルは、審美が関係ない臼歯部なら歯肉縁でよい。審美が重要な部位で冠辺縁を歯肉縁下に入れたいならアバットメントの高さ(プラットフォームから冠辺縁までの距離)が2ミリ以上確保できる程度にインプラントを深く埋めて置かなければならない。

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審美領域でないなら、アバットメントのメタルが歯肉縁からちょっとはみ出していてもいいではないか、と考えている。それくらいに思うほど、インプラント周囲炎は嫌なものであり、是が非でも避けたい。

インプラント周囲炎を引き起こしやすい上部構造の形態について、本HP内の「Dentist」に書いているので、是非読んで行って欲しい。