インプラント上部冠脱離はインプラント周囲組織チェックの恰好のタイミング

 先日、インプラント治療終了後のメインテナンス時の経過観察におけるチェック項目について書いたばかりだが、今日はインプラント上部冠が脱離した患者さんがお見えになり、インプラント周囲組織の良い経過観察の機会となった。インプラント上部冠を仮着セメントでとめたケースだが、仮着セメントでとめると時々取れる(今回4年ぶりだが)。取れた時が、インプラント周囲組織の経過観察の格好のチャンスだ。かぶせた冠がないと、本当によく見え、プロービングも正確に出来るからだ。

 

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脱離したセラモメタル冠の粘膜付近表面のプラーク付着は極めて少量だった。プラークコントロールは優秀だ。

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インプラント周囲ポケットはどの部位も2mm以内だった。頬側にはわずかだが付着歯肉のゾーン(1~2mm程度)が存在しており、通常通りのブラッシングが可能となっている。それでもプロービングすると、ごくわずかに出血する箇所が見られた。

 

 

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これは4年前に上部冠を装着した時のデンタルX線写真だ。上部冠を乗せるアバットメントと冠マージン部はスムーズなスロープで移行しており、清掃ツールのアクセスが容易な環境が確保できている。インプラントはアストラテック。

 

 

 

 

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これは、今回受診の直近のメンテ時に撮影したデンタルX線写真だ。注目してほしいのは、マージナルボーンロスが全く見られないところだ。手前の天然歯遠心は若干、垂直性骨吸収が見られるが、インプラント周囲には認められない。