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2013年3月

今日は右下顎臼歯部にジルコニアフルミリングブリッジを装着しました。

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  本日、右下⑦6⑤ジルコニアフルミリングブリッジの装着を予定している支台歯です。

両支台歯とも失活歯で、残根状態であったオリジナルの歯をファイバーポストとコンポジットレジンで通常の補綴物が装着可能な形態に築造しています。

 

 

 

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 本日、装着するジルコニアフルミリングブリッジです 

 

 

 

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 ブリッジが装着された状態。 

 

 

 

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 これは、デンタルラボ“アトリエココロ”から提出された技工物に付随して届けられるレポートです。

製作コンセプトとして、1)支台のエッジ部分をリリーフしてください、2)連結部を強度的に制作してください、3)丁寧な適合を心がけてください(模型が破損しないように)、などと記載されています。
技工物を製作するにあたって留意するべき事項を文章化してラボ内でスタッフに周知しているのでしょうが、デンタルオフィスにもこのリポートを提出していただけると、丁寧に作ってくださっているのだなと感謝するとともに、歯科医側も心して患者さんの口腔に慎重に装着しないといけないと思います。
この様なラボの試みは素晴らしいです。 

今日は右上6のトライセクションを行いました。

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 右上6の口蓋側ポケットは12ミリもあり、口蓋側歯肉に膿瘍を形成しています(矢印の部位)。

他の部位のポケットは正常範囲内なのにここだけ異常に深いのは変です。

 

 

 

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   右のデンタルXPでは判然としませんが、口蓋側の歯根が破折していることがポケットの異常な深さと口蓋歯肉膿瘍の原因だと推察しました。

初診時には右上6にインレーが充填されており、失活歯であることより、破折の可能性は高いと考えます。
 
 

 

 

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 そこで上顎大臼歯の歯根分割抜去法であるトライセクションを行いました。

右上6の歯冠と歯根を近遠心的に分割し、口蓋根のみを抜去する術式です。
抜歯窩の口蓋側骨壁は根尖まで消失していました。
 

 

 

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  抜去した口蓋根です。

やはり完全に破折していました。
抜歯ではなく、部分的に抜根することの意義は、歯根膜を持った歯を歯列内に残せることです。
歯根膜の存在により、咀嚼の感覚を中枢に伝達出来るわけですから、出来る限り天然歯は保存されるべきでしょう。

 

本日は左上4にジルコニアボンドクラウンを装着しました。

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  左上4はファイバーポストとコンポジットレジンで築造された失活歯です。

 

 

 

 

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 その支台歯にこのようなジルコニアボンドクラウンを装着します。

ジルコニアはファインセラミックスで強度が充分あるため、メタルの代わりにセラミックスクラウンのフレームに使用できます。
 

 

 

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 左上4にオールセラミッククラウンが装着された状態です。

マージン部が明るい色調となり審美的です。

 

 

 

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   審美領域はやはりメタルクラウンよりオールセラミッククラウンがよいと思います。

 

 

 

 

今日も神戸の筒井塾セミナーで咬合療法を勉強しました。

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 2日目の午前は、咀嚼運動の講義がありました。

筒井先生の経験では、ほぼすべての顎機能に異常がある症例は「全身の中の下顎位」と「歯列も含めた適切な咬合面形態」を回復させれば回復に向かう、とおっしゃいました。

 

 

 

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  「全身の中の下顎位」とは一体何なのでしょう?最適な下顎位を得るための優先順位はリラックスした筋肉位と安定した咬頭嵌合位が最上位に来ます。

よい咬合を与えると、結果として生体は良い機能をし、よりよい形態へリモデリングし、リラックスした下顎位を表現して来ます。咬み合わせをよくすると全身もよくなるという関係です。
しかし、この逆の関係もあります。
すなわち全身が悪い(全身が歪んでいる)と、咬み合わせに悪影響を及ぼすという関係です。
つまり、咬み合わせと全身の機能は相互に影響し合っているようなのです。「全身の中の下顎位」とは、講義を受けた範囲で自分なりに理解した意味は、「全身の機能とよく調和する下顎の位置」という意味でしょうか。
 
 
 
 
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 つまり、よい咬み合わせは全身の機能をよい方向に導き、同時に全身のよい機能は咬み合わせをよい方向に導く、といったように両者は相互に影響し合ってお互いが良好な状態を維持できている、そういった状況にある下顎の位置を「全身の中の下顎位」と表現しているのではないでしょうか。

 

 

 

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  下顎位の講義の次は咀嚼運動の講義です。

咀嚼の際の下顎の動きの実際を、歯科医を含めてほとんどの人が把握できていないようです。
咀嚼運動サイクルを詳細に記述すると、以下のごときものになります。
右側で咀嚼するとすると、
 
 1. 食物が口腔に入ると、下顎は左側後下方(作業側と反対方向)に開口し、舌で食物を右側臼歯部の咬合面テーブルの上に乗せる。
 
 2.  右側作業側が先に垂直成分が強い開口をし、左側非作業側が遅れて水平成分が強く開口する。
 
 3. ターニングポイントで非作業側が追いついて、サイクルの中での位置が左右同じくらいになる。
 
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 4. 右側後下方より閉口する。右側下顎の頬側咬頭が上顎の頬側咬頭内斜面(A点)を目標にして、隆腺で後横よりすりきって咬頭嵌合位へ入っていく。頬側の食べ物は歯肉頬移行部へ落ちる。
 
 5. 上の舌側咬頭内斜面と下の頬側咬頭内斜面との接触点(B点)で食べ物を圧断する。
 
 6. 遅れて上の舌側咬頭外斜面と下の舌側咬頭内斜面が咬頭嵌合位に入って、両者の接触点(C点)で食塊を舌房へ切り落とす。
 
 7. 左側(非作業側)が垂直成分を強くして咬頭嵌合位に入る。
 
 
 
 
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  一日の最後に、歯科技工士である増田長次郎氏による咀嚼運動から捉えた機能的咬合面形態をプロビジョナルに付与するデモがありました。

 

 

 

 

今日と明日は神戸で筒井塾 咬合療法のコースを受講します。

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   今日は筒井塾 咬合療法コース3日目です。

午前中は咬合療法の一つの肝である最適な下顎位についての講義と実演でした。
 
  
 

 

 

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 従来の限界運動に基づく咬合論では、最適な下顎の位置は頭蓋骨下面のクボミである下顎窩に対する顆頭(下顎骨の関節突起の上端)の位置によって決定されて来ました。

この決定法によれば、たとえば窪みの中央とか、あるいは前上方に顆頭が位置する時に最適な下顎位である、というようないい方になります。
そして、ナソロジーを源流とする多くの咬合論はこの頭蓋骨と下顎骨との位置関係によって、下顎位を論じてきました。これらは、骨は硬いので簡単には変化しない、したがって基準点になり得るという前提で発展した概念といえます。
そして、不変の基準点を必要とした理由は、咬合器という人間の咬み合わせ( の一部)を再現することを目的とした機械に正確にトランスファー(写し取る)するために、どうしても必要であったといえます。頭蓋骨と下顎骨との三次元的位置関係を規定するのに基準点がないと困るからです。

 

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  そして、従来のナソロジー系の補綴学派は咬合器で再現できる下顎運動として何を目指したかというと、それは限界運動だったのです。

つまり開閉口したり、上下の歯を接触させながら下顎を前に突き出したり、側方に滑走させる運動(歯軋りの動きがこれにあたる)を咬合器で再現させることを重視し、その再現を目指していました。
そして、この咬合器を使用して患者さんの咬み合わせを構築すると、補綴物は長期の使用に耐え、患者さんはいつまでも快適に咬み続けられると主張してきました。 
 

 

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  筒井昌秀先生、照子先生もこの咬合論を習い、それに基づいて精緻な補綴物を一生懸命作り続けてこられました。

しかし、その結果はというと、次々と補綴物が壊れていったそうです。
そして、悩みに悩み、なぜ壊れるのかを考えぬいた揚句、ついにその理由を発見しました。
その理由とは、補綴物が壊れるのは限界運動しか再現できない咬合器上で作製するからだ、ということです。

 

 

 

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  限界運動とは非機能運動であるブラキシズム(歯軋り)にほかなりませんが、人間の下顎は機能運動である咀嚼や発音、嚥下を行っています。

そして、咀嚼運動は限界運動とは全く異なる動きなので、咀嚼運動を妨げる上下の歯の位置関係が存在すれば、その部分は壊れるはずです。
筒井先生は咬合の問題における咀嚼運動の重要性に気づかれました。咀嚼運動に適した歯列や咬合面形態でなければ、咀嚼運動によって歯が壊れるのです。 

 

 

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   さらに別の気づきとして、生態に不変の基準点など存在しないということです。

骨は外力に適応してその形態を変化させるという原則があるので、骨の形態も絶えず変化しているという生理学的事実に気づかれました。
骨は機能に従ってそれに適した形態に変化するというWolfの法則に照らしても、このことは十分うなずけます。
顎関節窩や下顎頭の形態はいくらでも状況に応じて変化するにも関わらず、これらに基準を定めて最適の下顎位を議論すること自体、無意味であると確かに思います。

 

 

 

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  だから筒井先生は、最適な下顎位は変化する骨の形態から規定し得るものでなく、下顎の運動に関連する多くの筋肉群がリラックスした状態でバランスがとれているポジションを最適なポジションと規定するべきと考えられています。

最適の下顎位のことを筒井先生はリラックスポジションと呼び、それは術者が患者さんに与えるものでなく、患者さんが教えてくれるものだと説かれます。  

 

 

 

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  リラックスポジションの採り方の実演としてフィンガーガイドテクニックが紹介されました。3本の指で下顎を下から軽く抑え、そっーと患者さんに咬んでもらう方法です。
 また、咀嚼運動を解析する咬合分析機である「ナソヘキサグラフ」や咬合力を客観的に定量化出来る「オクルーザー」、下顎の位置によって全身の重心が変わることを敏感に感じ取れる「グラビコーダー」の使用法も実演で示して頂きました。

 

 

 

 

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  その夜のポートピアホテルでの懇親会では、受講生の1人としてスピーチさせて頂く機会を頂きました。

とても素晴らしいコースを受講出来て、本当に感謝していることを述べ、将来は医学と歯学とが融合する方向に向けて自分は努力していきたいと抱負を述べると、筒井先生がほほ笑まれて握手してくださったのには感激です。
歯学の全身健康にもたらす威力の大きさは絶大であり、国民を元気にし、幸福へと導くためにわれわれ歯科は医科と今以上にもっと連携していく必要があると心底、自分は思っています。咬合療法はそれを実現する要の部分だと思います。

 

今日は無歯顎上顎の臼歯部に3本のインプラントを植立しました。

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 本日は無歯顎の上顎にインプラントブリッジを作製する目的で、先ず3本のアストラテックosseospeedTXインプラントを植立しました。

通常の方法に従い、オープンフラップで骨を露出し、将来の人工歯が配列されやすい位置にサージカルガイドを用いてインプラント埋入窩をドリリングで形成しました。 

 

 

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   インプラントはなんら問題なく埋入出来ました。

しいていえば、抗血小板剤の服用下でオペしたので、出血量がやや多く術野が見にくかったこと、そして縫合を緊密にしなければ止血が得られなかったことが問題でした。
こういうケースではフラップの剥離を最小限度にとどめ、低侵襲手術をもっと心がければよかったかな、という反省の余地がありました。

今日は右上76を抜歯後、ソケットプリザベーションを行いました。

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 デンタルXPで右上76には根尖から分岐部にかけた陰影が見られ、保存不能と判断して抜歯しました。

 

 

 

 

 

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  抜歯窩にたまっていた不良肉外組織を徹底的に除去し、健全な骨面を露出させます。

76とも頬側の骨壁は根尖まで消失していましたが、幸いなことに7と6の歯間部は頬側の骨壁が残っていました。
これはラッキーです。この部分が膜を支えてくれますから。

 

 

 

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 “ネオボーン”とAFGとを混和して粘度を持たせた補填材を抜歯窩に詰め込みます。

 

 

 

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 その上面と側面に自己血から作製したC GFメンブレンを5枚重ねて乗せました。

そして膜がずれないように、サイトプラストスーチャーで注意深く時間をかけて周囲粘膜と縫合しOP完了です。

 

 

 

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  術後のデンタルXP。

翌日の経過観察では出血や痛みはなく、創部は大変きれいでした。
硬いものを食べないようにお願いして、当面、治癒を待ちます。

昨日はデンタルラボ アトリエココロ社長と夢を語りました。

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  昨夜は、当院の治療部門のパートナーであるデンタルラボ アトリエココロ社長とリラックスして、ナイスな和食レストラン“あ・うん”で大いに夢を語り合いました。

  間違いなく歯科にとって良い時代がそこまで来ていることをお互いが確認し、それまでこだわって精度の高い補綴治療を行っていけば、近いうちに当院もアトリエココロも大ブレイク間違いなし、と云って笑い合いました。

 

 

 

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 生理学的に理にかなった歯科治療を歯科医が設計し、その設計思想をよく理解したうえで歯科理工学的なプロフェッショナルであるテクニシャンがその歯科治療を下支えすれば、極めて良質の咬み合わせ機能回復がもたらされ、これは患者さんにとって福音です。
“治れ!”と気合を入れて歯科処置をし、テクニシャンは“役立て!”と魂を込めて歯科技工物を製作する。デンタルオフィスとラボが連携して”魂の治療“をすると、とんでもなく凄いことが起こると思っています。
 
  以上の様な真面目な話だけでなく、たわいもない余剰な笑いを随所にはさんで、素敵なトークが果てしなく続いたナイスな夜でした。

 

本日は右下顎臼歯部にインプラントを2本植立しました。

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  本日のインプラント植立部位は右下76です。

  本日のポイントは下顎管の損傷に気を付けることです。

 

 

 

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   術前のCTで、右下7相当部の歯槽頂と下顎管までとの距離はあまり長くなく、通常の長さのインプラントを使用すると下顎管損傷の危険があることがわかっています。

 

 

 

 

 

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   そこで、オープンフラップ法で安全確実に歯槽骨レベルを直視しながら、インプラントを植立しました。

 右下7相当部はアストラテックosseospeed TXインプラント長さ6ミリ、右下6相当部は9ミリです。

 

 

 

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   術後のパノラマXPです。

 インプラントと下顎管との距離は十分に保たれています。
 翌日の経過観察では、術部の痛みや腫脹、知覚以上はありませんでした。

今日は先日インプラントを植立した創部の経過を観察しました。

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 2月8日に上顎前歯部にインプラントを植立した際の、フラップを閉める直前の状態を撮影した写真です。

インプラントの上にFDBAを乗せ、CGFメンブレンでカバー後、粘膜骨膜弁で半閉鎖創にしてOPを終えています。

 

 

 

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  同部の本日の状態です。

露出したCGFメンブレンはある程度吸収し、FDBA顆粒が露出しています。
しかし、この顆粒は洗浄しても剥がれてくることはありません。感染の兆候もなく、炎症も認められず、経過良好です。
CGFを用いたオープンバリヤメンブレンは有効の様です。

 

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